人工呼吸器離脱が可能な状態として正しいのはどれか。
1: 動脈血pH:7.20
2: PaO2:40mmHg(FIO2 0.21)
3: PaCO2:45mmHg
4: 1回換気量:4mL/kg
5: 呼吸回数:40/分
人工呼吸器からの早期離脱が患者の ADL・QOL を改善することも明らかになっている。自発呼吸トライアル(Spontaneous Breathing Trial :SBT)とは、人工呼吸による補助がない状態に患者が耐えられるかどうか確認するための試験のことである。患者が以下のSBT開始基準を満たせば、人工呼吸器設定をCPAP または、Tピースに変更し、30 分から 2 時間観察する。SBT成功基準を満たせば抜管を考慮する。(SBT 開始安全基準)
原疾患の改善を認め、①~⑤をすべてクリアした場合、SBT を行う。それ以外は SBT を行う準備ができていないと判断し、その原因を同定し対策を講じたうえで、翌日再度の評価を行う。
①酸素化が十分である
FIO2≦0.5 かつ PEEP≦8cmH2O のもとで SpO2>90%(PaO2:80~100mmHg)
②血行動態が安定している
急性の心筋虚血、重篤な不整脈がない
心拍数≦140 bpm
昇圧薬の使用について少量は容認する(DOA ≦ 5μg/kg/min、DOB ≦ 5μg/kg/min、NAD ≦ 0.05μg/kg/min)
③十分な吸気努力がある
1 回換気量>5ml/kg
分時換気量<15L/分
Rapid shallow breathing index(1 分間の呼吸回数/1 回換気量[L])<105 回/min/L
呼吸性アシドーシスがない(pH>7.25)
④異常呼吸パターンを認めない
呼吸補助筋の過剰な使用がない
シーソー呼吸(奇異性呼吸)がない
⑤全身状態が安定している
発熱がない
重篤な電解質異常を認めない
重篤な貧血を認めない
重篤な体液過剰を認めない
1:呼吸性アシドーシスがない(pH>7.25)状態が必要である。
2:低酸素血症を呈しており、離脱が可能な状態ではない。
3:正解。PaCO2は30~45mmHgであればよい。また、十分な吸気努力があることが必要である。
4:1 回換気量>5ml/kgの十分な吸気努力があることが必要である。
5:Rapid shallow breathing index(1 分間の呼吸回数/1 回換気量[L])<105 回/min/Lであることが必要である。呼吸回数の増加は、低酸素状態や発熱等が考えられるため、人工呼吸器離脱可能な状態とはいえない。